俺の失敗リスト

20万円のフルオーダースーツ。一度も着る機会がなくタンスの肥やしになった理由

「お前さ、いいスーツさえ着れば、中身まで『いい男』になれると勘違いしてなかったか?」

銀座の老舗。歴史ある重い扉を開け、俺は20万を差し出した。 プロのテーラーは完璧だったよ。俺のなで肩を補正し、座っても膝が突っ張らない絶妙なゆとりを持たせ、10年後でも古びない究極の「ネイビーの三つ揃え」を仕立ててくれた。

手元に届いた時、鏡に映った俺は、自分でも惚れ惚れするほど「仕事のできる男」に見えたんだ。 だがな、そのスーツは2年後の今、クローゼットの隅で虚しく吊るされている。一度も、ただの一度も外に着ていかないまま。

俺の屍を越えてゆけ。これが、老舗の技術すら無駄にした、40代男のリアルな敗北宣言だ。
 

「勝負の日」を自分から迎えに行かなかった慢心

お前さ、20万のスーツを買ったことで満足して、「これを着るにふさわしい舞台」を用意するのを忘れてなかったか?

俺はそうだった。このスーツさえあれば、いつか「ここぞという大事な商談」や「超高級ホテルのディナー」が向こうからやってくると思い込んでいたんだ。 だが、現実は変わらない。毎日の仕事は、いつものジャケパンで十分な打ち合わせばかり。週末の予定も、気心の知れた仲間との飲み会。

「今日はこのスーツじゃないな」「これはもっと大事な時に」 そうやって出し惜しみをしているうちに、気づけば2年が経っていた。最高の武器を手に入れたのに、戦場に出る勇気も、戦場を作る努力もしなかった。 結局、俺は20万のスーツに見合う人生を送っていなかったんだよ。
 

老舗の「一生モノ」の計算を、俺の不摂生がぶち壊した

銀座の職人は、確かに40代の体型の変化も見越して、わずかな「縫い代(出し入れの余裕)」を作ってくれていた。

だが、俺の自堕落はその計算を遥かに超えていた。 「いいスーツがあるから、いつでも取り戻せる」という謎の安心感から、深夜の暴飲暴食を繰り返し、たった1年で体重は10キロ近く激増した。

久しぶりに袖を通そうとした時、絶望したよ。 職人が残してくれた数センチの「遊び」なんて、俺の醜い腹回りには無力だった。無理に着ようとすれば、あの美しいシルエットが台無しになる。 職人のプロの仕事に甘え、自分を律することをやめた瞬間に、20万の価値は死んだんだ。
 

「完成」に満足して、中身をアップデートしなくなった

これが一番情けない理由だ。 完璧なオーダースーツを仕立てたことで、俺の中で何かが「完成」してしまったんだよ。

「俺は20万のスーツを持っている男だ」というプライドだけが肥大して、肝心の、そのスーツに相応しい「立ち振る舞い」や「最新の知識」、あるいは「女性をエスコートする余裕」を磨くのを怠っちまった。

いざ、そのスーツを着て出かけようと思っても、鏡に映る自分の「顔」が、服の気品に負けているんだよ。髪はボサボサ、肌は荒れ、中身は数年前のまま。 「服だけが一流で、中身が三流」な自分の姿が恥ずかしくて、結局クローゼットの扉を閉じた。 20万のスーツは、俺の「中身のなさ」を突きつける鏡になってしまったんだ。
 

結論:スーツに負けない「お前」を先に作れ

お前さ、20万のスーツを仕立てる前に、まずはそのスーツを「着こなせる自分」を維持する覚悟はあるか?

服はあくまで「増幅器」だ。お前という中身がゼロなら、どんなに高い服を着てもゼロのままだ。

「いいか。20万を布に払う前に、まずは自分の『稼ぐ力』を上げろ。そして、その体を絞れ。話はそれからだ。」

もし今、お前が「形だけ整えて安心したい」と思っているなら、その20万はドブに捨てることになる。 まずは、自分自身の市場価値と、男としての地力を底上げすることに全振りしろ。

俺みたいに、完璧なスーツを「自分への皮肉」に変えてしまうようなマヌケな真似、お前は絶対にするなよ。